emz（エムズ）

　福岡空港のそばにあり、真っ赤な外観が印象的なエムズさん。アルファロメオやプジョー、BMWといった外車・スポーツ車関連の取り扱いでは、九州圏内で一目置かれる存在です。代表の松尾茂善さんにファンをひきつける秘密を伺いました。「パーツでも何でも買ってもらうためには、モノの必要性を感じてもらわないといけない。そのためにレースや、ツーリングなどのイベントを開いています」。特にエムズさんを訪れる顧客は、車を趣味のひとつとして楽しんでいる方が多数。市場にあふれる他の嗜好品に負けないよう、魅力を伝えることは重要です。「イベントで考えるのは喜んでもらうこと。新商品のPRをしてもらって、祭の楽しい雰囲気を盛り上げます。そもそも地域の祭ってコミュニティの場所ですよね。そこに車を絡ませるのが僕らの手法であり、経営戦略のベースになっています」。イベントは毎回大盛況。レースでは150台もの車が各地から集合するそうです。
　車の業界、特にモータースポーツの分野に30年以上関わってきた松尾さんは、あるとき自問自答しました。「車って何だろうって。高いお金をかけて、得るものってなんだろうって。答えはやっぱり人でした。たくさんの人と知りあえる楽しみがある。それを伝えていきたいです」。イベントは購入のきっかけであると同時に、車を通じた人と人とのコミュニティづくりを担っているのです。
　ある日のイベントでこんなことがありました。70代の男性と若干20歳の若者が『あそこのコーナーはﾉﾉ』と話をしていたそうです。年齢や職業などは関係なく、同じ話題で盛り上がれるなんてほかにはなかなかないもの。高齢化の問題や若者のコミュニケーション能力不足が叫ばれる昨今ですが、自分たちがやってることこそ、それらを乗り越えられるのでは、と感じているそうです。「商売だから売り上げも関係あるけど、正直いってめちゃ楽しい。楽しむことが継続になり、利益につながる」と目を輝かせた松尾さんが印象的でした。