テーマ「世界に、未来に、ニュースです。」として、去る10月26日(開会式)から東京モーターショーが開催された。カーメーカーは海外輸出、海外生産で成長を続け、この2007年上半期ではトヨタ自動車が長年世界一位の座を守っていたゼネラル・モーターズを抜いて1位になったとう歴史的なニュースも報じられた。しかし足下の日本国内はと言えば、この10年580万台レベルの販売と、低空飛行が続き昨年は574万台といよいよ580台を下回ってしまった。この原稿を書いている現時点は未だショー開催中であり、総入場者数等人気の程は計数的に過去と比較できないが、クルマ関連業界においては、国内需要喚起への期待も高まったショーであったと思う。

 さて、モーターショーにおけるクルマのレポートはカー雑誌を始め、各種報道が詳しく述べているからそちらを参照頂くとして、ENKEI Web Magazine としては部品、それも「Wheel」の立場から今回のショーについて述べてみたい。

 クルマのサイズが大きくなる、或いは馬力が上がる、とした傾向が続くことによって、タイヤの幅は大きく、扁平率は小さくとした事象に伴って、ホイールの径、幅も大径化して来たことは周知の事実。
例えば、現在のKカーは純正でも15インチを履くし、アフターの市場では17インチ迄ラインナップされている。そして、今回のショーで話題になったクルマと言えば、なんと言っても、NISSAN GT-Rではないだろうか!?その対抗馬として見られたのが LEXUS IS-Fである。
GT-Rは純正で何と20インチを装着するし、IS-Fでも純正が19インチである。SUV等の米国仕様では既に20インチが純正装着されてはいるが、日本のパッセンジャーカーとしての純正20インチ採用は初である。

 時代は環境、ECOである。タイヤメーカーからも転がり抵抗を低減したエコタイヤの発表が著しいし、当のカーメーカーも軽量化、省燃費等環境性能をアピールするクルマ、コンセプト提案が中心である。そういった中での超弩級のクルマの発売?・・・思うに、これこそがクルマが「ブランド」、「デザイン」、「操る楽しさ」等々、単なる機械ではない、官能的な部分を保ち合わせるモノであるという証ではないだろうか?
 コンセプトカーに装着されていたWheelは、どれもが大口径で、光輝タイプ、樹脂パーツを組み合わせたコンポジットタイプ、そして「量産化はどうやって実現する?」と、プロも頭を捻らざるを得ないほど造形美に拘ったタイプなど、「デザイン性」が全面に出したモノばかりだったと思う。

 しかしながら、前述のような超弩級の高性能車の足下を支えるのも Tire&Wheel である。超弩級車の高性能を削ぐこと無く性能を引き出す為には、軽量化によるバネ下重量の軽減、応力に負けない剛性、そしてローターを冷却する機能等々、Wheel本来の機能が必要である。機能を果たすことは全てのクルマ部品に共通して言えることであるが、外観としてアピアランス性の高いWheelであるから勿論デザイン性も重要な要素であることに間違いはないが、機能を削いでは本末転倒である。

 環境は時代のキーワードである。デザイン性を踏まえつつも、基本機能を果たすWheelを創作し続けることが使命であると、2面性を感じた今回のモーターショーを見学して強く再認識した。    

T.T

今回も多くの人が詰めかけた東京モーターショー。



多くの人で賑わい、熱気溢れる会場内。



今回、注目度ナンバー1はこの「NISSAN GTR」で
あろう。マルチパフォーマンススーパーカーを目指す。

こちらも注目の「LEXUS IS」。
V8/5Lエンジン搭載のプレミアムスポーツセダン。


コンセプトカー「MAZDA 大気」。次世代ロータリー
エンジンを搭載し、将来のFRスポーツの可能性を表現。


 
 
コンセプトカー「LEXUS LF-Xh」。スポークサイドに
大胆なスリットがある個性的なWheelデザイン。
   市販予定の「SUBARU IMPREZA WRX STI」。
 “意のままに操る愉しさを追求”したAWDスポーツ。
    コンセプトカー「SUZUKI KIZASHI2」。エモーショナル
  なフォルムのクロスオーバースポーツワゴン。

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