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加藤 哲也 氏・久保 雅一 氏 「86-Racing Project」始動

HUMAN TALK VOL.175 加藤 哲也氏・久保 雅一 氏 「86-Racing Project」始動

小学館グループのハウスエージェンシーである
(株)小学館メディアプロモーションが財務管理をしているROBOT RACING。
全日本カート選手権やK-TAIで注目されるこのチームが
CAR GRAPHICとのコラボレーションチームを結成し、
今年からシリーズが始まるGR 86/BRZ RACEに参戦する。
今回の“タッグ”がなぜ実現したのか?
双方の代表がこのプロジェクトに関して対談した。

PROFILE

加藤 哲也
KATO Tetsuya

1959年2月20日生まれ 東京都出身
玉川大学文学部卒業。テレビバング制作会社に勤務後、二玄社に入社。自動車雑誌「CAR GRAPHIC」に配属され、副編集長、編集長を務めてきた。2010年4月に二玄社から「CAR GRAPHIC」の発行を引き継ぎ、株式会社カーグラフィックを設立。現在は代表取締役社長として活躍している。

久保 雅一
KUBO Masakazu

1959年7月25日生まれ 北海道出身
1983年に早稲田大学教育学部を卒業し、小学館に入社。月刊コロコロコミックの編集、ミニ四駆などのキャラクタービジネスにも携わり、任天堂のゲームソフト「ポケットモンスター」のコミック、アニメ展開の仕掛人としても有名。現在は小学館マルチメディア局クロスメディア事業センター チーフプロデューサー。

加藤 哲也
株式会社カーグラフィック
代表取締役社長 加藤哲也

久保 雅一
小学館マルチメディア局クロスメディア事業センター
チーフプロデューサー 久保雅一

ライバル関係だったふたり

久保 「加藤さんは僕のライバルだったんです。タミヤ模型さんがホンダ青山本社のエントランスで年5戦ぐらいの出版社の対抗RC(ラジコン)レースを開催していたんです。当時僕はコロコロコミックという編集部に在籍していてそこの看板を背負ってエントリーしてました。タミヤさんとは近い存在だったので、そういう意味ではワークスっぽく比較的新しいパーツを回してもらえたりして(笑)」
加藤 「そうだんたんですか!? 今明かされる真実ですね。」
久保 「その対抗レースに加藤さんが参戦してきて、何か速いやつがいきなり出てきたぞ、困るんだけどって」
加藤 「あれが90年代のF1ブームの頃ですかね。僕は渋谷のデパートの上にラジコンサーキットができたので通い詰めていました。ラジコンって僕らの世代だとほとんどやっていない。あったとしても裕福な家庭の子が飛行機をやっていたぐらいで、タイレルのF1が出た時も中学、高校ぐらいの時で、そこを経験していないんです。だから、ラジコン世代とはいえない世代なんですけど、F1ブームをきっかけにタミヤがすごく良いラジコンを出してきて、F1のセナ、プロストの影響でラジコンだけでなくレース界全体が盛り上がってきた時期です。久保さんは2輪のオフロードレースやエンデューロをやられてきましたが、僕は僕でワンメイク、FJといった4輪レースをやってきて、それもそろそろ限界かなっていうところでラジコンに出会ってしまったので、のめり込むわけですよ。そのデパートのコースに通い詰めて、ひたすら練習に明け暮れた。片山右京がFJにデビューする前に1年間レースに出ずに練習だけしてデビューイヤーでチャンピオンを獲った。それとレベルは違うけど、ニオイとしてはそういう感じで、満を持して出たわけです」
久保 「今風に言えば、“コソ練”していたと」
加藤 「ちょっときれいに言い過ぎましたね(笑)」
久保 「だから来た時から速いんだよね。そのホンダエントランスのコースはすごくダスティで、普通のスポンジタイヤで走っているとスケートリンクで走っているみたいでした。うまく走れないんだけど、加藤さんは最初からスムーズに走っていた。で、同い年なんだってことで仲良くなっていったんです」
加藤 「CG(カーグラフィック)にも何度か登場してもらったことがあるんですよ。今はなくなりましたが、NAVIという雑誌のオフロードバイクの企画で一緒に走ってもらったりとか。僕がオートバイの免許を取ったのが45歳。遅いですよね。ラジコンを始めたのも遅かった。そういう意味で久保さんは先生だったわけです」
久保 「オフロードだけは負けないと思ったけどね」
加藤 「もっと前に乗れ、もっと前に乗れって現場で言われたりね(笑)。そういう間柄で、ひとつになって何かをやるというのは今回が初めてのことですね」

“こそ練”するために

久保 「僕が映画の仕事をするようになり、ミニ四駆やポケモンの映画を15年やったのかな。そして、「ALWAYS 三丁目の夕日」という実写映画でロボットさんという映画製作会社とお付き合いしたんです。当時のロボットの社長さんがカート好きで、息子さんとレースに参加されてました。会う度に『乗りに来い』と言われて、嫌いじゃないので『じゃあ行きます』って。すぐレーシングスーツ買ってワッペンを作って貼って、ヘルメット買ってペイント。まずは形からって(笑)」
加藤 「大人の通る道、王道ですよね」
久保 「それで、ツインリンクもてぎで夏に開催される7時間耐久の“K-TAI”というレースにいきなり出たんです。エンジンが2ストの125ccで、バイクと同じ。だから最初から比較的速く走れた。オフロードのバイクに乗っていたら滑るのも平気、平気って。07年の参加2年目にロボットレーシングとして、100台近く出ている中でいきなり2位になりました。これはいけるじゃんってことでカートレースにド~ンとのめり込んでいきました。そのうち何人か育成ドライバーを入れながら、映画でお世話になった仲間にスポンサーしてもらって、全日本選手権にも参加するようになり、レース活動も広がって良いチームに育ったと思います。そのうち、ずっとサインボード出しを手伝っていた息子もレース出たいと言い出し、親がやっていてダメとも言えないので(笑)。そういう流れで息子の凛太郎も15歳からレースを始めることになりました。親から見ると、彼の成績は去年まで中途半端というか分かりづらかった。もっと良い成績なら『レースで生きろ』と背中を押せるし、もっと悪いと『才能ないから辞めろ』と言えるけど、昨年3月に今年で辞めたらって言おうと思ったらいきなり全日本初戦でフロントロウを取ったり。昨年の12月にカートを卒業して、栃木県のル・ボーセモータースポーツというトヨタ系のチームにお世話になりながらスーパーFJを走るようになりました。ステップアップしてからは比較的安定して調子が良く、もてぎの第3戦では勝ってポイントリーダーにもなりました。で、やっていく中でクラッシュさえしなければスーパーFJはカートよりも安価でレース活動できるかもと思い始めました。でも、13年のスーパーFJ日本一決定戦の舞台は鈴鹿サーキット。練習にもてぎから行こうとしたらマシンを運んだり、チームに帯同してもらったり、結構コストがかかるわけです。FCJやF3、GTは日本全国のサーキットを行脚するわけで、その前に“こそ練”しようと思ったらどうしたらいいだろうと悩んでいました。そんな時に、これだって思ったものと出会えたわけです」
加藤 「久保さんが息子さんを走らせる中で感じてきたこと、経験してきたことが、今回の新しいプロジェクト誕生のきっかけになったわけです」

ROBOT RACINGとCAR GRAPHICがコラボして
今年から始まるGR 86/BRZ RACEに参戦する
このプロジェクトが始まった裏側だけでなく、
双方の代表が期待するモータースポーツ
自動車業界の未来像までを語り合っていただいた。

加藤 哲也・久保 雅一

加藤 哲也・久保 雅一

村っぽさを払拭したい

久保 「スーパーFJで遠征するにもお金がかかるなと思っている時、フッと出てきたのが86なんですよ。ナンバー付きの86レーシングだと、そのままサーキットまで自走して行くことができて、タイヤとホイールを替えて車高を合わせておけば、メカニックがいなくてもコース習熟のためのスポーツ走行なら問題なかろうと。練習後はタイヤを付け替えてまた自走して帰ってきたらいい。練習走行に行く上で、86レーシングはとにかく安く済む。SUGO、岡山だとか、走ったことがないサーキットを練習する上ではもってこいなんです。86レーシングのワンメイクレースが開催されると聞き、加藤さんに相談したらカーグラフィック(CG)、ロボットレーシングで一緒に出たらおもしろいんじゃないのという話になったわけです」
加藤 「実はCGは、FJ開催初年度から出ていたんですよ。CGレーシングチームが組織されて、マシンを買って社員、編集部員がレースに出るという活動をずっとやってきた歴史があるんです。その流れで僕が自分でFJをやったりとか。そういう意味ではボトムエンドのレースに対して積極的に参加していきたい、という媒体の伝統があるんですよ。日本のモータースポーツってそこの敷居が高く、少し村っぽいじゃないですか。そこの敷居を下げたいなという思いもあるし、車が持っている根源的なおもしろさというのかな、思いのままにコントロールするとか、他人よりコンマ1秒でも速く走りたいという自動車の魅力を一番端的に感じられる部分を大事にしたいんです。久保さんから86のレースをやろうよというお話をいただき、これは渡りに舟とばかりに一緒に手を組んでやりましょうかとなったのが今回のプロジェクトの始まりです。ちょうど今ガレージで車を作ってもらっていますが、参戦する上ではオイル、ブレーキパッド等の消耗品も必要になります。それらのパーツのうちのホイールのサポートを長くお付き合いさせていただいているエンケイさんにお願いしたら快諾していただけました。ドライバーは久保さんの息子、凛太郎くん。若手育成という意味もあるし、86のナンバー付きレースの敷居の低さをアピールしつつ、モータースポーツの底辺拡大につながるプロジェクトになればと思っています」
久保 「ただ、事務局に聞いたら開幕戦のエントリーは82台だとか。車が完成したらすぐに富士に練習しに行って、しっかりセットつめないとね」
加藤 「運転の引き出しってフォーミュラだけに乗るよりもツーリングカーに乗った方が増えるんでしょうね。今時、車好きでレースをやるっていう子はめずらしい。若い有望なドライバーと接することがありますが、彼らはレーシングカーにしか興味がなくて、自動車には興味がない子が多いんですよ。凛太郎くんはお父さんの影響で正しい車好きの道を歩んでいるみたいなので期待が持てますね」

加藤 哲也・久保 雅一
ツインリンクもてぎで開催されるK-TAIに参加するロボットレーシングのメンバー。これほどの規模で毎年楽しんで参加しているのはここだけ。

加藤 哲也
フォーミュラ、ハコ車のレースの世界をしっかり経験してきた加藤だからこそ、若手のステップアップカテゴリーの挑戦の難しさが分かる。今回のプロジェクトでは若手を応援したい気持ちも強い。

久保 雅一
モトクロスをやっていた頃の久保。自らが楽しむことにも積極的であることが、多くの人に共感を生み、仲間の輪をどんどん広げることに。

広がる輪

久保 「86レーシングの場合、友達ひとり乗せていけば4輪交換するのもぜんぜん問題ないでしょう」
加藤 「欧米型の楽しみ方ができるんじゃないですか? 果たして車がそれに耐えてくれるかは分からないですけど、サーキットに行ってタイヤだけ替えて走って、またタイヤを替えて帰って来られる。ポルシェのようなポテンシャルを86レーシングが持っているかどうかを見極める上でも、すごくいいレースではないかなって思います。車の基本操作を覚えるという意味では、市販車においてマニュアル車がどんどんなくなっている中、その魅力を知っている人間にとってはたまらなくおもしろい部分を86レーシングは残してくれていることにも注目しています」
久保「86/BRZ Raceってすごい注目度ですよね。不安とワクワクが混在してます。86レーシングのレースで、走りに影響するパーツはタイヤとホイールとブレーキパッドぐらいしかない。おそらくタイヤとパッドは皆同じメーカーになっていくと思うので、決め手はホイールかも。ホイールの軽さ、構造とか、走りの基本中の基本で勝利を呼ぶ差異が出てくることになるかもしれません」
加藤 「もし前の方にいければ……やっぱり速い車ってかっこよく見えますからね」
久保 「プレッシャーですね(笑)。予選落ちは絶対に許されないからと言ったら、本人は大丈夫じゃねって言ってましたが」
加藤 「頼もしいですね。久保さんの人としての魅力だなと感じるのは、どんどん輪が広がって行くこと。今回の86レーシングのプロジェクトもそうですが、ロボットレーシングでのカート活動においてもどんどん台数が増えていっていますよね」
久保 「今年の耐久レースは5台で出場するかな」
加藤 「真剣ではあるんだけど、自分たちも遊びの中心にいたいという気持ちが強い。だから広がっていくのかもしれませんね」
久保 「自分たちがその中で楽しめないと人に勧められないよね。とても大事なこと」
加藤 「エンケイさんをはじめ、多くの協力のもとで動きだしたこのプロジェクトで裾野を広げていければいいですね」
久保 「86レーシングがひとつのムーブメントになることを期待します」
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